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冷却性能の向上を目指すため、ピストンの冷却空洞について適当と考えられる3種類のモデル(形状)について、伝熱解析を実施した。
この解析により最適と考えられたモデルを基に、冷却空洞の形状を変更した改良型ピストンを設計・製作した。(図42、43)
この改良型ピストンについても静応力計測を行い、各部の応力が従来レベルであることを確認した。(図44)

 

3.6 連接棒

燃焼最高圧力と回転数の上昇に対応しながら軽量化を実現するために、検討が必要な部品である。
重量の増加を問題にしなければ、3分割連接棒の採用も考えられるが、重量の増加は軸受条件の悪化を招き、高回転化の障害となるため、従来通り大端部を斜め割りとした2分割連接棒を採用することとした。
高回転、高出力化および軽量化した場合、高出力時に大端部と小端部の内径の変形が大きくなることおよび、大端部のキャップを取り付けるためのボルト穴のメネジ部の応力増大が懸念される。
このため、FEM解析や静的応力計測結果を参考に、材質面および構造面から検討を行った。
また、プロトタイプエンジンの全長(シリンダピッチ)を短縮するために、連接棒の幅を短縮した場合についても検討を行った。

 

a)260mm試験エンジン
軽量化を図るために、構造、材料、強度上余裕のある部分の削減などについて検討を行った。
材料面では従来より使用されているクロム・モリブデン鋼(SCM材)から、より強度の高いニッケル・クロム・モリブデン鋼(SNCM材)に変更し、引張強さを95kgf/mm2から120kgf/mm2に、疲労強度を27kgf/mm2から33kgf/mm2に大幅に向上させた。
更に、表面の応力の高い部分には、ショットピーニングを施工し、圧縮の残留応力を与え、疲労強度の向上を図った。
また、連接棒のメネジには、従来の切削メネジに替え、より強度に優れる転造メネジを採用した。

 

 

 

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